2016年1月28日木曜日

01/27/16 【学校がおうちに引っ越し!】

今月は暖冬で雪が少なくて嬉しかったです。
来月もこの調子で春に近づいていきますように!


 
えっ、ここが学校?
         教室など一体どうなってるの?


心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする  『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー
上原英子です。 

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地元学区域が一般住宅を買い上げて、高校生(2・3年)で
妊娠・出産を経た女生徒が復学するためのデイ・ケアに宛てたのは、
私にとってビックリな話だった。

今でも一学年200人の生徒のうち、2~5%くらいがこのような体験をする。

祖父母が孫の面倒みて女生徒は復学するケースもあるので、
昨年は2名しかこの施設を使わなかった。

ある意味、もったいなかった。

私が一対一のアート・セラピーをしている代替教育プログラムの内のひとつ、
元小学校校舎は今年度売りに出されることに。


このプログラムは別の校舎への引っ越しを余儀なくされた。


そこで、定員10名現在7名が在籍)のこのプログラムは、
このおうちセッティングのクラスに引っ越すことに。 

転地や退学なども起こるので、生徒数は年間を通じて増減する。

裏口から入ると、生徒一人一人にロッカーが設えてある。

 

表玄関を入って上がった所にカウチがコの字に置かれた居間。
ここで先生のお話しや朝礼、休み時間を過ごす。



 
バルコニーの横にグループで課題などをする時のスペースが。 

 
元々は一般住居なのでキッチン付き。
 
二間をぶち抜いて床をリノニウムにして教室に。 

発達障害の生徒もいるので、集中できるよう
机はパーテーションで区切ってある。

このプログラムがユニークなのは、 
生徒一人一人の学習ニーズに合せて
各々のカリキュラムを作り学んでいること。

個人で学習時間、また、クラス、グループで課題に取り組むことも。

窓が大きくて日が入るのが嬉しい。

 
生徒一人一人が使える台数のコンピューターがあるのは恵まれている! 


 
廊下を通ると、バスルームが。
北米の一般的な作りなのでトイレとお風呂が一緒になっている。


 

先生のオフィスをお借りしてアート・セラピーのセッションを。

この部屋はマスター・ベッドルームなので、スィーツになっている。
トイレとお風呂が併設されているので、絵の具を使ってもすぐに
水場に行ける。


半地下にはストレージの他、有酸素運動やウィエイトのマシーンが入り、
プール・テーブルが運び込まれて昼休みを楽しめるようになる予定。

生徒たちに新しい学校はどうかと尋ねると、

「前の校舎は日陰で暗かったので、
明るい家に引っ越して嬉しい。
とっても居心地がいいよ!」 

学校に内履きを持っていったり、前ほどアート作りの教材がないので
手持ちの材料を持ち出ししたり、私にとってもこの引越しは変化となった。


生徒たちがおうちセッティングの環境を気に入っているならよかった!
 

2016年1月21日木曜日

1/20/16 【自閉症児B君2:字しか書かなかったのに…】 

暖冬ながら大雪が降っている今年のカナダの冬。
校庭に雪だるまができているのを微笑ましく眺めています。

質問:私からのクリスマスのプレゼントのお菓子が気に入ったB君。
耳を塞いでいるのは、音がうるさいからではなかったのです。
では、どうして
耳を塞いでいるのでしょうか?


心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする  『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー
上原英子です。 

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前回のB君のお話しは、以下をご覧下さいませ。
12/24/15 【自閉症児B君1:言葉がなくても・・・】 http://kokoronoartwork.blogspot.ca/2015/12/122415-b1.html

B君はASD:自閉症スペクトラム障害を持つ13歳男児。
言葉は話せないが、声を出すことはできる。

頻繁に通ってくる私の名前が「えいこ」であると理解しているが、彼は2音続けて発音できないので、
私のことは、「こ~」と呼んでいる。

はい、を意味するYesはイ・エ・スの3音なので言えないが、
OKの「ケー」と言うことがある。

いいえ、を意味するNoはノーの1音なので言える!
嫌な時、B君は手で追い払うようなしぐさをする。


マーカーやペンなど、筆記具を使うのが好きなB君。

絵の具を用いた時、お気に入りの黒をパレットのたくさんのスポットに出した。

赤と黄色はひとつづつパレットのスポットに出した。

そして、その配分通り、大部分を黒を使っていたB君。

人の顔の造作は描くことができるが、自由画を描くことに興味がないB君。

B君が描きたいのは、彼が記憶している映画のタイトルバックや、
ドライブ中に見掛けた停止サインやカフェの看板など。
全て彼の記憶に印象に残っているものだけ。
 数枚描いている内に、青い絵の具も使い出したB君




 黒しか興味がなかったB君が赤・青・緑を少しずつ使い出した。




 

あれ?
少しずつ図?絵?のような感じになってきて、筆先を使って描き始めた。 


 
最後の1枚、10枚目紙神一面を筆を使って塗りつぶした!
 
 
 
 
1時間のセッションで10枚の作品を描き続けたB君。
いつもながら作成中の超集中力には目を見張るものがありました!

里親のおばさんに見せたくて、小走りで呼びに行ったB君。
おばさんに褒めてもらって、とても嬉しそうでした。

自閉症を持つ人は一般的に人との関わりに
興味がないとされています。

でも、B君は人の関心を引くことが大好きで、
じっと他者の目を見つめて声を発します。
 
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最初の写真:音がうるさいからではなかったのに、どうして耳を塞いで
いるのかのお答え。
 
B君のセッションの時間が終わって、私が画材を
片付けたので気分を害したのです。
 
B君は自分が気に入らないことがあると耳を塞ぎ、
怒りが強くなると自分の身体を噛み始めます。

他者に暴力を振るわないようトレーニングを受けたので、
衝動を抑える時は自分の身体を傷めつけて
我慢するのです。
 
それでも、彼の行動を制限した学校の先生に暴力をふるって
停学になったことがあるB君。
 
自分は「ノー」と嫌だと意思表示することが多いB君なのに、
他者に「ノー」と
自分がすることを制限されるのは大嫌い。(笑)
 
セッション中の彼の仕草により注意を払うようにしよう。
 
 
 
 
 
 

2016年1月11日月曜日

1/10/16 【心の波動に身を任せ】

今日はスーザン・デニスさんの表現芸術療法ワークショップ
『ザ・インナー・ダンス』 に参加してきました。



 
自分が木になったイメージを身体で表現している私とスーザンさん 
私は『紅梅』で、スーザンさんは『柳』

心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする  『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー
上原英子です。 

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講師のスーザンさんは2014年からこの地域で月に一度の 表現芸術療法ワークショップ・シリーズを催しています。
 
先住民族の血を引く彼女はその文化や儀式にも通じていて、
ワークショップにも取り入れているのが興味深いです。

 
11月に参加した 『地球のメッセンジャーは、こちらから~
http://kokoronoartwork.blogspot.ca/2015/11/110815.html


12月に参加した 『パワー・アニマルズは、こちらから~
 http://kokoronoartwork.blogspot.jp/2015/12/12615.html
 
今日のテーマである内なるダンスは、スーザンさんとおしゃべりしていた時に
私が提案したもの。

「振付けのあるダンスを習うのではなく、
自分の心感じていることをムーブメントで表現する
ワークショップがいいな」

このアイディアを取り入れたワークショップに6名の女性が
参加しました。


サークルの中心には、灯されたキャンドルとジェム・ストーン、そして
ドリーム・キャッチャーが。

Gabrielle Rothのリズムを用いて、まずは身体ならし。 
 リズムと共にナレーションが「頭、首、肩…」とウォームアップする
身体のパーツを示唆しているので身体をかしやすい。
 
今回の自己イメージのテーマは『木』でした。

驚いたのは6名の内半分の3名が『柳』を選んだこと。

私にとって柳は、幽霊が出る時の舞台装置のようなイメージ。
または、「柳に腕押し」の頼りなさの象徴なのであり得なかった。

 
私は神田明神に咲き誇る姿が思い出にある
『日本の紅梅にしました。 

ここで、5~7分間ペンの流れを留めないオート・ライティング・テクニックを用いて自分が選んだ木について書きまくりを。 

自分が書いた文章の中で印象的な言葉を選んで、それらを用いて詩作を。

その後、床に敷いたヨガ・マットに横たわり、誘導瞑想に耳を傾ける。

その後、さまざまなジャンルの音楽が流れる中で自分が選んだ木のイメージを思い浮かべながら、身体の内側に意識を集中。

「この瞑想状態では、呻いたり話し出す人も。
動きと共にさまざまな感情が湧いてきたら、

それを身体で表現して。
泣いても、笑っても、怒鳴ってもいいの」


私は紅梅のメッセージは感じられないまま、身体が導くままに動き続けた。

スタジオからは泣き声や喘ぎ声、呻いている声も聞こえてくる。

私は急に可笑しくなって、ゲラゲラ大声で笑い続けた。
涙が出るくらい笑ったら、身体が空っぽになった感じ。

横たわったら、自分は今は疲れていて、夜にぐっすり眠りたいのだと感じられた。

ムーブメントの後に自分の木を描く時間に。

寒く凍てついた中で果敢に花をつける紅梅。
大地からの滋養、太陽の光、そよぐ風。
そして、温かい手に触れられて花開く刹那。 

雪だるまが溶け出すほど紅梅の
心的エネルギーがほとばしる開花の瞬間。 

シェアの時間には各人のさまざまな想いが表され、驚いたり、頷いたり、
共感溢れるひと時に。
 
最後に希望者でグループ写真の撮影を。

 
ワークショップの後に引いたカードは全て自分に必要なことばかり。

この日の夜はラベンダーのアロマオイルを垂らした塩湯にゆっくりと浸かって、
心身を解放しました。

ゆっくり眠る時間をとったら、身も心も蘇ったような心地になりました。

セルフ・ケアの必要な時を直観する大切さを実感したワークショップでした。

 









2016年1月10日日曜日

1/09/16 【D君:性的虐待が切り裂いたのは…】

冬休みが終わって学校が始まりました。
休み前と比べて変化があるのか生徒たちの様子を観察する期間もあります。


 
セッションで用いられたテディーベアのクッキー型抜き

心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする  『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー 
上原英子です。 

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私は2000年にカナダ赤十字の児童虐待防止プログラムの
プレゼンター:Respect Edとしてトレーニングを受け、
各中学校でプレゼンをしていました。

児童虐待の種類は、身体的、感情的、性的の3つ

感情的な虐待は、児童虐待のどんな分野にとっても
虐待の礎になっています。

上記の中で最も扱いが難しく心身の傷が深いのが性的虐待。

日本では性的虐待は男性⇒女児のイメージが強いでしょうね。

北米では男性⇒男児の性的虐待も頻発しています。

D君は昨年の7月にカナダ東部から引っ越してきて、9月から
このプログラムに通っています。


13歳にしては身体が小さく、10歳前後にしか見えないD君。
 先生や私に対しては挨拶をしたりいい子にふるまっています

でも、D君には二面性があると、他の
生徒からの評判は最悪。
私もそのことはセッションを通して感じ取っていました。

今回のセッションでは、プレイ・セラピーを用いてみました。
 
さまざまなフィギュアを用いて遊んでみると…

フィギュアを動かすのは得意。
でも、そこからお話しを展開したり、それぞれのキャラ役になって遊ぶのは、

いまいちの様子。
D君の家は裕福で、スケボーのブランド物ジャケットを着ています。

世界有数のリゾート地を訪ねたことがあるそうで、金銭的には恵まれています。

でも、彼の絵の描き方に口唇期の欲求が満たされていない表現が。

赤ちゃんの時に保護者としっかり愛着関係が築かれていないのでしょう。

                ↓

感情面で口唇期に満たされなかった名残りがあり、
情緒面の発達が遅れているように見受けられます。 

D君が手にしているピンクの物体は、スェーデン生まれの
Kinetic Sand
 

このキネティック・サンドは、粘土のように団子状にできたり、
ナイフで切ることもできるのです。
持ち上げると砂のようにホロホロっと崩れます。

http://ggsoku.com/cul-on/kinetic-sand/

生徒からリクエストがあって購入したこの
キネティック・サンドは、とても人気があります。

D君は喜んで砂遊びを始めました。

 

D君は平たく伸ばした生地にクッキー型でテディーベアを抜きました。

それを逆さに掌に載せて傾けると、
砂が崩れて頭の部分が千切れて落ちていきました。

D君「あ~っ、頭がおっこちた。
打ち首にされたみたいだ~!」

私「ほんとだ~頭がまっさかさまに落ちた!」

D君はますますハイになって、この作業を繰り返しました。
遊んでいる様子はまるで3歳児のようです。

D君「ボクはこの作業をやらなきゃならないんだ!
頭と身体を切り離して、別々にしなきゃ。」

D君は、セッションの時間が終わるまで、何体ものテディーベアをクッキー型で抜き頭と身体部分を分けて陳列しました。

この強迫観念的な作業は、D君が性的虐待を受け続け、
頭と身体が切り裂かれた状態だと訴えているように見受けられました。

以前は多重人格と呼ばれた解離性同一性障害の発症は、拷問など耐え難い痛みを伴う体験による強い精神的ストレスを受けています。

私は生徒に精神疾患に関する診断は下しません。それでも、セッションで強い印象を受けた生徒の行動は担任の先生に報告しています。

D君は自分の心の状態を、頭と身体が切り裂かれた状態だと遊びを通じて訴えていたのです。

実年齢に見合わない子供っぽさや、大人を歓ばそうとする行動は、彼が性的虐待から生き延びるために表れたとスキルだと考えると符号が合います。

D君に限らず、生徒は虐待の可能性が見られるアート作りや遊びをしても、事実を告白することはまずありません。


私はセラピストとして彼と関わっているので、
いつ、誰に、どんなことをされたのか、また、現在はどうなのか、
という 
生徒の告白を誘導していると感じられる可能性がある質問をすることは禁じられています。

早速、担任の先生このセッションの模様を報告。

親御さんから、D君が子どもの頃に性的虐待の被害を受け、2・3か月前にも同じようなことが起ったらしいと聞いていた担任の先生は、

「英子のセッションで彼の身の上にあったことが
再現されたので、彼の保護者と話し合い事実と照合する機会を持つことにするよ。
よくやってくれた!」





私のセッションでのD君の行動に対する発見を、
このように認めてもらえて嬉しいです。


そして、このような形で虐待防止に
一役担うことができて本望です。

D君の身辺の安全が確立されることを
願って止みません。










2016年1月7日木曜日

1/6/16 【新年のご挨拶】


謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中はブログをご覧頂き、ありがとうございました。 


皆さまの益々のご活躍をカナダよりお祈りしております。   


カナダBC州サーモンアームのフライヒルズを臨んで
 
カナダの冬の風物詩の雪掻き

ご挨拶かたがた私の近況を綴らせて頂きます。

お陰様で、2015年の帰国時のアート・セラピーを用いた心理療法ツアーは、 

2 ヶ月間で30講座と個人セッションを開催することができました。
 

本年も5~7月に帰国して同ツアーを開催致します。

現在帰国時の日程を調整中ですので、
講座開催の日程が決まり次第ご紹介させて頂きますね。



本年もどうぞよろしくお願い致します。 

平成二十七年 一月吉日



上原 英子
心理療法家: カナダBC州公認臨床カウンセラー/  
カナダBC州公認アート・セラピスト