2012年1月7日土曜日

1/5 自閉症スペクトラム障害児とのアート・セラピー講演会


初日の出ではありませんが、新年早々、こんな朝焼けが見えました。

昨夜、私が住んでいる町の自閉症スペクトラム障害:ASDのためのサポート・グループに対して
『自閉症スペクトラム障害児とのアート・セラピー』の講演会が開催され、
講師としてスライド・プレゼンテーションをしてきました。

 セットアップを担当してくれたBさんは言語学の博士号を持ち、言語療法士としても活躍中。

自閉症スペクトラム障害をWikkipediaから引用してみます。

自閉症スペクトラム(じへいしょうスペクトラム、英語: autism spectrum, autistic spectrum)とは、自閉症、アスペルガー症候群(日本語ではアスペと略されて呼ばれることもある)、
特定不能の広汎性発達障害などの各疾患を広汎性発達障害の連続体の1要素として
捉えたもののことである。

自閉症の説明はこちら。

自閉症(じへいしょう、Autism)は、社会性や他者とのコミュニケーション能力に困難が生じる
発達障害の一種。先天性の脳機能障害であるが、脳機能上の異常から認知障害の発症へといたる具体的なメカニズムについては未解明の部分が多い。
時に、早期幼児自閉症、小児自閉症、あるいはカナー自閉症と呼ばれる。

日常語でうつ病やひきこもり、内気な性格を指して自閉症と呼ぶこともあるが、
これは医学的には完全に誤った用語である。

発症率は増加の傾向にあり、現在では大まかに「100人に1人」と言われています。

私はカナダBC州教育庁管轄の83部門で公認アート・セラピストとして仕事をしています。
主に問題行動のある生徒と一対一の個人セッションを継続的にしています。
その中にはアスペルガーを含む自閉症傾向のある生徒もいます。

今回の『自閉症スペクトラム障害児とのアート・セラピー』の講演会では、
主に私がセッションをしてきたASD傾向の生徒たちのアートワークの写真を元に、
それぞれの症例を紹介する形になりました。

最初にアート・セラピーにおける自閉症スペクトラム障害児の治療的ゴールのご紹介しました。

自己認識感を向上させること 。

 社会性を発達させること。

 行動の変化を起こすこと。
 
 問題解決力をつけていくこと。

 安全な環境の中で創造的な発想ができるようにしていくこと。

 侵入的な考えを締め出すために手を使った活動をすることに集中できるようになること。

Art Therapy for High Functioning Autism - How to Get Started

一口に自閉症スペクトラム障害児と言っても、それぞれの症例は変化に富んでいます。
私とのセッションで上記の項目の内の幾つかが飛躍的に向上した例もあれば、
効果が遅々として現れなかった例もありました。

ひとつだけ言えるのは、どの生徒も活き活きとアート・セラピーに取り組んだということ。
瞳が輝いて、笑顔がこぼれるようになりました。
地元の保健所内のホールには自閉症スペクトラム障害児の親御さんや専門家が
集まりました。

60枚以上の写真をした私の講演時間は1時間。皆さん、とても熱心に見入っていて、
質問の声も上がり活気のある会となりました。
そして、最後に発達障がいの生徒に対して共感を感じる体験を綴った私の詩を朗読しました。



Baby Steps Make Changes


I was born and raised in Japan.
When I started to learn English in grade seven,
I was excited and thrilled,
And dreamed of going abroad in the future.

When I came to Canada to teach Japanese.
I felt like my dream had come true.
I had much knowledge in teaching Japanese culture.
However I could not write, read or speak English well.

I was frustrated when others didn't understand me,
I was anxious when I couldn't write well.
I was helpless when I couldn't understand what others were saying.

I know how hard it is when we are not understood,
When we are not accepted,
And when we are not valued for who really are
Because we cannot do things the way others expect.

Then we start to walk with baby steps.
We can show we have different qualities,
And begin to express our inner feelings,
Striving to do the best we can.

These baby steps make changes,
Changes that lead to our dreams coming true.
Little by little, one day at a time,
We step forward towards a bright future.



【よちよち歩きから始めよう】



私は日本で生まれ育った。
中学で英語のクラスが始まった時、
ワクワク・ドキドキしたっけ。
英語ができるようになって、いつか海外に行くことを夢見て。

日本語を教えにカナダにやってきた時、
夢が実現した!って嬉しかった。
でも、日本の文化を教える知識はあったけど、
英語の読み書きやしゃべりはうまくできなかった。

自分が理解されなかった時の不満感
うまく書けなかった時の不安感
他の人が話していることが分からなかった時の救いようのない気持ち
全て味わってきた。

だから、私にはわかる。
自分が理解されず、受け入れられず、
本来の自分の価値を分かってもらえない時の苦しさを。
ただ、他の人の期待に沿うようにできないために。

そんな気持ちの時は,
よちよち歩きから始めよう。
自分は違うよさを持っていることを示し、
自らの気持ちを表現し、
できるだけのことをしてみようよ!

このよちよち歩きは変化を生み出すから、
そして、夢の実現に導いてくれる。
少しずつ、毎日一歩ずつ
明るい未来に向かって歩み続けていけばいい

© Eiko Uehara 2008

お子さんの姿を思い浮かべながら朗読に聴き入って下さったサポートグループの
親御さんたち。 私のアート・セラピーの実践に対して共感を抱いて頂けて本望でした。

この後の懇話の時間には自閉症スペクトラム障害のお子さんに対してのアート・セラピーを
試してみたいという親御さんが何人かいらして、いろいろとお話してきました。

ASDサポートグループの会長よりお礼状を頂いて帰りました。

 開封してみると、感謝の気持ちと共に地元のカフェのギフト・サーティフィケートも
入っていて嬉しかったです。

膨大な数の写真を検索し、写真を選んでスライドを編纂するのに莫大な時間を費やしましたが、こんなに喜んで頂けてセラピスト冥利につきました。

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